就活ルールについて、日本経団連はついにある決断をしました。
就職活動のルール、いわゆる「就活ルール」をめぐって、経団連の中西会長は9日の記者会見で、「採用活動に関する指針を経団連としては策定しない」と述べ、企業の採用活動の解禁時期などを定めた指針を2021年春の入社分から策定しないことを正式に表明しました。引用:NHK NEWSWE
目次
就活ルールを振り返る
今では就活ルールという言葉は一般的になりましたが、昔は就職協定といっていました。
これは実に1953年まで遡ることになるのですが、当時は人手不足で企業側は学生を積極的に採用していました。
企業は当然、いい学生が欲しいのでその採用活動も早くなりそれがどんどんエスカレートしていき、就職活動が早期化していくのでした。いい企業に入るために学生は就職活動に専念するのはいいのですが、学業がおろそかになると主張し始めました。
このような背景があって、大学3年生の10月から採用活動を開始するという就活ルールを策定しました。
これがいわゆる「就職協定」なのです。
この就職協定の取り決めがあってから、ある問題がでてきました。
それは就活のスタートラインを決めたはずが、そのルールを破ってフライング、つまりいち早く優秀な学生を採用しようとする企業が続出したのです。
当時、これは「青田買い」と呼ばれ、いわゆる抜け駆け行為として禁止されて、ルールを破った企業にはペナルティーで注意・勧告・違反社名の公表などの処分が下されました。
ところがこんなペナルティーはものともせず、青田買いをやめる企業はありませんでした。
結局、こんなルール意味ないという事で就職協定は廃止となりました。
現在の就活ルールとは?
就活ルールとは日本経済団体連合会、いわゆる経団連が定めた、加盟企業に関するルールです。
基本的には大学3年生の3月に就活をスタート、そして6月から面接等の実質的な選考が開始される、こういう名目のルールです。
なぜ名目かというと、①就活は前出のように経団連が定めて指針であって、経団連に未加入の企業には全く拘束力ない、②現在の就活ルールというの一部形骸化している、というのが大きな理由です。
現在の就活ルールを守って活動をしている真面目な企業はバカを見る、そういわれています。
何故かと言えば、経団連に未加入の外資系企業やベンチャー企業は就活に柔軟で、優秀な学生を獲得するために大学1年生のときから卒業するまで有効な「内定パス」を与えるといいます。
これでは就活ルールを守っていては、優秀な学生がどんどん奪われてしまいます。
こんなバカバカしいルールならやめてしまえ!というのが今回の経団連の判断なのです。
就活ルール廃止はいつからか?
就活ルールの廃止は2021年の春の入社分から適用すると経団連が発表しています。
ただ、本当にこの就活ルールを廃止してしまってもいいのか?どこかに悪影響が出るのではないかとも言われています。
この就活ルール、ある程度おおまかな目安ということで学生側や企業側にも暗黙のルール的に指標とされていたと言えます。
この就活ルール、実は中小企業にとってはありがたいルールでありました。というのもだいたい大企業が就活ルール通りに動いてくれれば、そこで漏れた学生を救いにいくという事が計画的にできたのでした。
学生の採用活動もかなりコストもかかるため、コスト削減にも貢献していたこのルールの廃止は中小企業にとっては痛い決定であるようです。
就活ルール廃止のメリットとデメリット
就活ルール廃止で考えれる学生側と企業側のメリットとデメリットを少し考えてみました。
学生側のメリット&デメリット
入学したての大学1年生から就職活動ができる!
受験勉強が終わったばかりで、さぁこれから楽しい大学生活だ!と思ったのもつかの間、入学そうそう就職活動開始!という光景が普通になるかもしれません。
大学1年が就活スタートが一般的になって、もしかしたら「大学2年で就活なんてもう採用枠ないよ!」、こんな時代がくるかもしれません。
内定を貰った企業に飽きて、他の企業に浮気する!
夢の大学生活がスタートして、クラブ、学園祭、バイト、彼女・彼氏、留学などいろいろ経験していくうちに、新しい夢に目覚めて、大学1年で内定をもらったはずの企業に未練がなくなる?!そんなことも起きそうです。
人気企業の応募は早期に募集終了かも!
大学生活を謳歌し過ぎて、気が付いたらもうとっくに募集枠がなくなっているかもしれません。
就活スタート時期が曖昧になりメリハリがなくなる
いつ就活を始めてもいいので、まだ時間があると先延ばしする学生はメリハリのある就活ができず、結果が出ないことになるかもしれません。
学歴・資格が選考基準になる
大学1年生で採用することを考えると、企業は大学生活での活動を評価することができないため、出身大学名や何か資格を持っているかなどに注目するかもしれません。それこそ高校時代の活動にアピールポイントを作っておくなんて学生も出てくるかもしれません。
留年する学生が増える
就活の早期化に加速がかかり、学業が疎かになって集中できず単位を落とし留年決定、内定が取れても卒業できないかもしれません。
契約金がもらえる時代がくるかも
優秀な学生をキールするために契約金を支払う企業が出てくるかもしれません。プロ野球と同じですね。時代も変わるかもしれないですね。
内定企業でアルバイトがスタンダード化
大学時代にアルバイトをしたものですが、このバイト先が内定をもらった企業になる、こんな事が普通になるかもしれません。ちょっと面白味に欠けるかもしれませんが。
企業側のメリット&デメリット
青田買いの嵐になる
大学1年生からの就活が普通になり、入学式で就活パンフレットが配布されるかもしれません。
年間通じてずっと新卒採用活動
就活ルールがあるとある程度目標とする時期があったので、そこに集中してコストを割けばよかったのですが、年中となるといつ頃集中すればいいか分からなくなるでしょう
内定辞退者が増える対応に追われる
これから色々経験して成長していく学生が、早い段階で企業を決めてしまうことで、学年が上がるうちにだんだんと他の企業もよく見えてきて、内定辞退となるケールも増えるような気がします。それによって通常よりも多い辞退者の対応のあくせくしなければならなくなるでしょう。
人事部は毎日、毎月が面接
超有名な企業は本当に忙しくなるでしょう。それこそ人事部の面接は交代で実施すると思うので、当たり外れも出てくるでしょう。まだ世間知らずの学生が選ぶので、当然名の通った有名企業に応募は集中することでしょう。
まとめ
就活ルール廃止には様々な議論があると思いますが、あなたはどう思いましたか?就活早期化は何のために大学に行ったのか分からない結果にもなるのではないでしょうか。高校を卒業したばかりの学生に、企業はどのように何を期待して選考をするのか、なかなか難しいところでしょう。今後、なんらかのルールがまた出てくると思いますが、学生にも企業にもお互いメリットあるルールであることを期待します。
